展示会には毎年当然のように出展し、費用対効果の検証もほとんど行われない一方で、WEBマーケティングとなると経営陣が急に慎重になる。製造業ではこうした矛盾がよく見られます。数百万円規模の展示会は「恒例行事だから」「競合も出ているから」と理由づけされるのに、数十万円のWEB施策には「効果は本当にあるのか?」「無駄にならないか?」と過剰に意識してしまう。これは、新しい取り組みに対する理解不足と、見える成果だけを重視する姿勢が原因です。しかし実際には、展示会よりもWEBの方が見込み顧客の行動を可視化でき、改善も容易です。
ユーザー行動の変化を理解していない
WEB活用が進んでいない製造業企業の経営陣は、ユーザーの購買行動が劇的に変化していることを十分に理解できていません。かつては営業が訪問して仕様を説明し、そこから比較検討がはじまる流れが一般的でした。しかし今は、ユーザーは営業に会う前にすべてを比較しています。図面、仕様書、技術資料、事例、価格帯、強み弱みこれらをWEB上で確認し、「問い合わせをする会社」をほぼ決めてから営業と接触します。つまり、会う前の比較がすべてなのです。にもかかわらず、情報が十分に掲載されていない古いサイトのままでは、比較の土俵にすら乗れません。ユーザー行動の変化に気づかないまま従来の営業スタイルに固執してしまうことが、製造業のWEB活用を大きく遅らせています。
WEB担当者への丸投げ
経営陣は「任せた」と言いながら、予算も権限も与えず、担当者は社内で孤立します。提案しても決裁まで時間がかかり、動き出す前に機会を逃すことも少なくありません。実はこの決裁スピードの遅さこそ、WEB活用を止めている最大のボトルネックになっています。
製造業はリードタイムが長く、短期成果にこだわりすぎる
製造業の商談はリードタイムが長く、受注まで半年〜1年以上かかることも珍しくありません。それにもかかわらず、WEB施策については「すぐ結果が出ない」「効果が見えない」と短期的に判断してしまう経営陣が多いのが実情です。しかしWEBは即効性こそ弱いものの、指名検索の増加、資料ダウンロード数の増加、問い合わせ内容の精度向上といった“中間成果”が必ず現れます。本来はこれらの指標を丁寧に追うことで、確実に成果が積み上がっていることを確認できるはずです。つまり、製造業のWEB活用が進まない背景には、こうした中間指標を見る視点が経営層に欠けていることが大きく影響しています。
情報を隠す文化が足を引っ張る
いまだに「図面をWEBに出したら真似される」「技術資料は営業が直接渡すもの」といった古い考えが根強く残っています。しかし、この情報公開への過度な不安こそが成長を最も阻む要因です。現在の購買行動は、営業と会う前にWEBで比較が完了するため、情報が少ない企業はその時点で候補から外れてしまいます。実際には、公開しない企業ほど比較の土俵にすら乗れず、機会損失を生んでいるのです。
WEB活用が“攻め”ではなく“守り”になっている
本来、WEB活用は新規リード獲得や認知拡大を実現する“攻めの武器”であるべきです。しかし多くの製造業では、WEBを“守り”としてしか扱えていません。補助金があるときだけサイトを更新し、費用の安さだけで制作会社に丸投げし、その後は運用されず放置される――このような状態では成果が出るはずもありません。結果として「WEBは効果がない」と経営がさらに消極的になり、悪循環が続きます。WEBを攻めの資産として捉え、継続的に育てる発想へ転換しなければ、製造業のデジタル化は前に進みません。
経営陣が成功状態を定義できていない
製造業でWEB活用が進まない背景には、経営陣が成功状態を定義できていないという問題があります。例えば「問い合わせ10件」が多いのか少ないのかすら判断できず、KPIやKGIの設定も曖昧なまま。数字で語る文化がないため、成果基準が明確にならず、投資判断が常に止まってしまいます。成功の基準が定まらなければ、WEB施策は前に進みません。
製造業のWEB活用は「経営陣が本気になる」ことで初めて動き出す
製造業のWEB活用は、経営陣が本気になった瞬間に加速します。どれだけ現場が努力しても、どれだけ優秀なWEB担当者がいても、経営側の覚悟がなければ前に進みません。ユーザーの購買行動はすでにWEB中心へ移行し、会う前に比較・選定が終わる時代です。そこで選ばれるための武器がWEBであり、これはもはや“営業の延長”ではなく“企業の競争力そのもの”です。展示会や訪問営業に頼るだけの時代は終わりました。経営陣が「本気でWEBに取り組む」と決めた瞬間から、問い合わせは増え、選ばれる理由が生まれ、未来の顧客が自然と集まる仕組みが動き出します。製造業の成長の鍵は、トップの覚悟にあります。経営側が動けば、会社は確実に変われるのです。