製造業の営業において失注理由として挙げられやすいのは「価格で負けた」「納期で負けた」「仕様が競合の方が合っていた」など、いわゆる比較・選定段階での敗北です。しかし実際には、もっと手前の段階で勝敗が決しているケースが驚くほど多く存在します。
それが “不戦敗(ふせんぱい)” です。
不戦敗とは、競合と比較される前に候補から外れている状態を指します。つまり、「戦う前に負けている」。この“不戦敗”こそが、製造業の営業における最大の敵なのです。
なぜ今、製造業の営業で“不戦敗”が増えているのか?
理由は明確で、ユーザー行動が変わったからです。製造業の購買プロセスはこの10年で大きく変化しました。かつては展示会・既存取引先からの紹介・営業訪問が情報収集の中心でしたが、現在では下記の流れが完全に定着しています。
- まず検索して情報収集する
- 比較検討はWeb上で完結する
- 候補企業を数社に絞ってから問い合わせする
つまり、ユーザーが検索したときに検索結果に自社が表示されないと、比較すらされずに終わってしまうという厳しい現実があります。
「営業がどれだけ頑張っても、検索時に見つけてもらえなければ勝負のテーブルにすら上がれない」これが“不戦敗”の正体です。
製造業の“不戦敗”が起きる典型パターン
ここでは、製造業の営業現場で実際に起こりやすい“不戦敗”の具体例を解説します。
1. そもそもホームページが見られていない
- 検索しても上位に出てこない
- 専門キーワードでヒットしない
- そもそも検索ユーザーが自社を知らない
これらはいずれも“不戦敗”につながります。 製造業では「指名検索」が大半ですが、新規顧客は貴社の名前を知らないので上記のような場合は最初から候補外になってしまいます。
2. 見られても“比較の対象”にならない(情報量で負けている)
製品や技術が優れていても、ホームページに情報が少なければ比較の材料がありません。ユーザーは比較検討の段階で「安心できる材料」を求めているため、事例や強みなどの情報が不足している会社は候補から外れやすくなります。これも立派な“不戦敗”です。
製造業営業とWebサイトは、今や“セット”で考えるべき
多くの製造業は今もなお、「営業が訪問して関係を作る」「取引は対面で決める」「ホームページは会社案内的な役割」という古い構造のままです。
しかし現実には、営業が訪問する前にユーザーは必ずサイトを見ています。営業が名刺交換した直後ですら、「どんな会社だろう?」とスマホで検索される時代です。その時にサイトが弱いと、営業が努力する前に負けてしまうのです。
“不戦敗”をなくすために製造業がやるべきこと
営業の努力を無駄にしないために、企業が取り組むべきポイントは以下の3点です。
1. 非指名キーワードで「探される導線」を作る(リスティング広告の活用)
既存顧客は会社名で検索しますが、新規顧客は「製品の一般名称」「用途×技術」「課題」などで検索します。そのときに見つけてもらうためには、リスティング広告などを活用して検索結果に自社を表示させておく必要があります。
2. コンテンツの充実=事例を増やす(信頼材料を増やす)
製造業で最も力を発揮するコンテンツが事例です。事例は以下のような役割を持ちます。
- 技術力の証明
- 顧客の使用イメージを具体化
- 「この会社はうちと似ている案件をやっている」という安心感
- 競合との差別化材料
事例が少ないサイトではこれらの情報が得られず、比較という土俵にすら上がれません。
3. 営業とWebを連動させる(訪問前の印象を統一する)
営業が話す内容とサイトで伝える強みがズレている会社も多いです。たとえば営業が「当社は難削材の薄肉加工が得意です」と言っていても、ホームページで「切削加工全般対応します(強みが不明)」となっていては説得力に欠けます。営業が語る強みを明確にサイト上でも伝えることで、営業前に信用を積み上げることができます。
まとめ|営業が頑張っても“不戦敗”では勝てない
製造業における営業成果は、商談の現場ではなく商談前の“情報収集段階”で決まっています。つまり、営業がどれだけ頑張っても候補に入っていなければ意味がありません。
営業の最大の敵は競合ではありません。“不戦敗”です。
不戦敗をゼロにすることが、これからの製造業営業にとって最も重要な取り組みになるはずです。