代理店任せでは売れない時代。メーカーが「スペックイン」を勝ち取るためのWeb戦略

多くの製造業メーカーでは、販売代理店を通じて販路を築いています。代理店経由の販売は、販売網の拡大や営業コストの削減といったメリットがある一方で、「代理店がどこまで自社製品を推してくれるのか」という課題を抱えている企業も少なくありません。特に標準品を扱うメーカーほど、代理店が積極的に営業してくれないという声をよく耳にします。理由はシンプルで、代理店にとっては他にも扱う商品が多く、利益率や販売実績の高い製品を優先して動く傾向があるためです。

代理店任せでは市場に浸透しない現実

「代理店が動かない」「エンドユーザーに製品が知られない」――これは多くのメーカーが直面する悩みです。代理店はあくまで“販売の窓口”であり、製品の価値を市場に浸透させる役割までは担ってくれません。特に標準品・汎用品ほど、スペックや価格の差が小さく、代理店にとっては「どの製品を売っても大差がない」状態に陥りやすいのです。この状況を変えるには、メーカー自身がエンドユーザーに直接情報を届け、指名される存在になることが重要です。つまり、「このメーカーのこの製品を採用したい」とユーザー側から指名される“スペックイン”の状態をつくる必要があります。

スペックインを実現するためのホームページ戦略

スペックインを勝ち取るためには、設計者や購買担当者が情報収集する段階で、自社の製品が比較・検討の候補に入ることが重要です。そのために必要なのが「情報発信の設計」と「検索での露出」です。

1. 技術情報を体系的に整理する

設計者が求めるのは「カタログを見なくても分かる技術的な理解」です。例えば、性能表や寸法図だけでなく、

  • 適用条件・環境例
  • 使用上の注意点
  • 他社製品との比較ポイント
  • 導入事例・設計者コメント

といった“採用の判断に必要な情報”をホームページ上に掲載することで、エンドユーザーが自ら「この製品なら使える」と判断できる環境を整えます。

2. リスティング広告で設計担当者に見つけてもらう

せっかく製品情報を丁寧に整えても、見つけてもらえなければ存在しないのと同じです。いまや設計担当者や技術者が製品を探すときの多くは、展示会や紹介ではなく、Googleなどの検索から始まります。「課題や条件を入力して情報収集する」という行動が一般化しており、まさに検索が情報収集の起点になっています。設計担当者は“条件検索”で製品を探す傾向が強く、たとえば「高温環境 センサー」「粉体 ブリッジ防止」「防水 ケーブルグランド」など、製品カテゴリーに使用条件を掛け合わせたキーワード検索が行われています。こうした“条件付き検索”で確実に見つけてもらうには、SEOだけでなくリスティング広告の活用が効果的です。SEOは上位表示までに時間がかかるうえ、競合との争いも激しくなります。その点、リスティング広告ならキーワード単位で出稿できるため、「今まさに探している設計者」にピンポイントで自社製品を届けることができます。

3. 事例記事で「使われ方」を具体化する

実際の採用事例を、「課題 → 解決 → 成果」の流れで紹介することは非常に効果的です。どのような現場で、どんな課題を抱え、どう自社製品が役立ったのか——そのストーリーを示すことで、製品の“使われ方”が具体的に伝わります。たとえ販売が代理店経由であっても、エンドユーザーが事例を見て「うちでも採用したい」と思えば、自然と代理店への指名につながります。つまり、ホームページ上でエンドユーザーが代理店に問い合わせたくなる理由をつくることができるのです。

「代理店を動かす」のではなく「市場を動かす」

代理店経由の商流で成功しているメーカーは、共通して「市場を動かす」視点を持っています。代理店を教育するよりも前に、エンドユーザーが「このメーカーの製品を使いたい」と感じる状況をつくる。そのための最も効果的なツールが、いまやホームページなのです。情報が設計段階からWebで検索されるようになった今、スペックインの起点は展示会や営業訪問ではなく、Google検索結果から始まると言っても過言ではありません。

まとめ

代理店に頼るだけでは、自社製品の魅力は市場に届きません。「代理店が売ってくれない」と悩む前に、まずはメーカー自身が発信し、設計者・エンドユーザーに直接届くWeb戦略を整えることが必要です。

スペックインを狙うためのホームページ運営とは

  • 技術的価値を正しく伝える
  • 見込み客に見つけてもらう
  • 具体的な導入イメージを与える

この3つの掛け算で成り立っています。

コスモブレインズでは、製造業に特化したWeb戦略の構築を支援しています。「代理店経由でも売れる仕組みをつくりたい」「設計段階で指名されるメーカーになりたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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