【株式会社ナックイメージテクノロジー】競合調査をヒントに自社の強みを前面に打ち出しリニューアルに成功

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市場で存在感を増すライバル

株式会社ナックイメージテクノロジーは、ハイスピードカメラなどを開発・販売する映像機器専門メーカーです。アイトラッキング装置の特設ホームページをリニューアルするにあたり、競合ホームページ調査のご相談をいただきました。

国内のアイトラッキング市場において、同社はトップシェアを誇っていました。しかし、同市場では数年前に日本進出した外資系専業メーカーがシェアを伸ばしていました。

このような状況の中、「国産メーカーでハイスピードカメラでも知名度のある自分たちが有利に戦うための営業戦略は何か?」「見落としている強みはないか?」を探るために、第3者の視点を取り入れる必要性を感じていたのです。また、事前に競合ホームページ調査を実施することでライバルのマーケティング戦略を理解し、リニューアル後のホームページをより魅力的なものにできるとお考えになったことでご相談をいただくに至りました。

競合ホームページ調査から見えた課題と戦略

このような背景のもと、トップシェアを争う外資系専業メーカーと業界3番手の商社を対象に競合ホームページ調査を行ないました。

コンテンツ分析でわかった差別化の鍵

調査を行なってみると、ライバルホームページ2社はいずれも200ページを超えており、約40ページだった同社の5倍以上の情報量であることが判明しました。一方、最も意識している競合である外資系専業メーカーのホームページは、「お知らせ」や「製品情報」「アプリケーション」のコンテンツは充実していましたが、「サポート情報」は少ないことも明らかになりました。この企業のグローバル(本社)ホームページではコンテンツの約5割を使い強みとして訴求している「サポート情報」が、日本ホームページではごっそりなくなっていたのです。

この結果から、ナックイメージテクノロジー様の強みである「国産メーカー」「長年市場を引っ張ってきた豊富な実績や信頼」「サポート力」という部分を前面に押し出すことで、効果的に差別化が行なえるのではないか?という仮説を立てました。

メーカー目線で選んだキーワードの失敗

また、競合ホームページと同社Webサイトの検索順位比較も行ないました。その結果、「アイトラッキング」「アイトラッカー」いずれも1位を獲得している競合ホームページに対し、ナックイメージテクノロジー様は83位、56位といずれも厳しい状況でした。実は同社は「視線計測」「視線検出」というキーワードにこだわりマーケティング活動を行なっていたのです。

検索結果の上位に表示させるなら、より一般的なキーワードの方が効果的です。同時に調査した月間検索回数(検索ボリューム)を見てみると、「アイトラッキング」「アイトラッカー」というキーワードの方が「視線計測」「視線検出」より8~10倍も多く検索されていることがわかりました。狙っていたキーワードとユーザーが使っている言葉との間にズレが生じていたのです。そこで、ホームページリニューアルに合わせ重視するキーワードについても方針転換を行ないました。

「顧客密着」「カスタマイズ」「安心サポート」で差別化

仮説を元に、ナックイメージテクノロジー様の強みを最大限に活かし市場を有利に戦うためのコンセプトとして、「顧客密着」「カスタマイズ」「安心サポート」を掲げることをご提案しました。

専門知識や経験を豊富に持つエンジニアが顧客に密着し、カスタマイズに注力し、手厚いサポートを行なってくれるという価値。更には、他システムとの連携によるソリューション提案を行なうなど、「アイトラッキングはサポートが重要」というメッセージを強く打ち出し勝負する方針を打ち出したのです。同時に、Webサイトのコンテンツも「選ばれる理由」「活用事例」「技術サポート」を厚くし差別化を図ることにしました。

アクセス数やホームページ滞在時間が向上、直帰率も改善

競合ホームページ調査で得られたデータを元に、2019年1月末リニューアルしたホームページを公開しました。2019年9月現在、すでに「アイトラッキング」「アイトラッカー」の検索順位は1ページ目にランクインするようになり、アクセスは8.86%アップ。ユーザーの平均滞在時間も22.64%増え、直帰率も4.10%改善しました。問い合わせも着実に増加しています。今後の課題はアプリケーションの更新を加速すること。地道な更新でユーザーの満足度をより高めていくことが、更なるパフォーマンス向上に繋がります。

お客様の声

今回コスモさんにコンサルをお願いするに当たり、できるだけ客観的な視点で弊社ホームページを分析していただき、何をすべきか?をしっかり見極めていただきました。分析の結果、弊社に欠けていたのは、メーカーという立場でホームページ制作を行なって来たことの弊害として、製品ありきの目線でPRを押し進めてしまい、ユーザーが置き去りになっていたことでした。もちろん、製品の応用事例の紹介や、ユーザーごとにカスタマイズしたシステムの提案など、積極的にPRを行なってきましたが、いつしかそうしたコンテンツづくりがマンネリ化し、ユーザーが求める情報との間に乖離が生まれていました。今回、コスモさんからの指摘で、競合対策とユーザーへの適正な情報提供という観点で、ホームページ作りを見直す良いきっかけになりました。

(2019年9月公開)

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